気持ちよく風が抜ける家の中でお昼寝をする、
そんな子供時代の思い出のある人も昭和世代の人
には多いと思う。
都市部においても今よりずっと緑も土もたくさん
残されていた、あの頃はどんなに暑い真夏の日も
夜になれば涼やかな風が心地よく吹いていた。
自然が抑え込まれ、熱帯夜が通常となった現在でも
できるだけ、自然の力を借りることで快適に過ご
せる空間をつくりたいと心がけている。
事例の住宅は
視界の開けた緑豊かな地域の高台に位置する。
大きく開口を取れるのは東方向となるが、何分に
もかなりの高台であるので、風の吹上による影響も
考慮しなくてはいけない。
そのため、より高さの出る2階部分の東窓はほぼ
FIX窓(嵌め殺しガラス窓)としている(眺望も臨め
るのでサッシの方立、枠を視界から消したかったと
いう理由も大きいけれど)。
南北には隣家が建っているので開口面積は小さく、
窓の数も少なくした。
道路に面する西はほぼ閉じたデザインになってい
て開口部は1つだけである。ということは大きく
開け放つことのできる窓が少ない家ということに
なる。
「夏、大丈夫かなあ?」ということで立体的に風
の流れを考えて家の内部の開口部を少し工夫して
風の通り方を検証してみた。(画像A)
(画像A)
図面の玄関 上部吹き抜け の部分には画像①の
ように建具が入れてある。そして梅雨前の時期に
建具を取り外して画像②の状態にする。
玄関上部 吹き抜け部分に面した2階の壁は画像③
のように天井まで上げていないので空気も循環して
いる(はず)。
京都の昔ながらの町家のように季節によって建具を
入れ替えるというひと手間と工夫で、できるだけ
エネルギー消費を抑えながら快適に暮らせる住まい
づくりは「持続可能な社会」にもつながっていくと
考えている。
画像①
画像②
画像③