宅建士向けの講習も頻繁に行われています。
背景には擁壁はあるけれど、その強度などが
確認できない古いものが増えているのだけれど、
不動産取引時に宅建業者が、その擁壁や崖条例等、
地盤に関する知識を持っていないで売買をして
しまうケースが起きないように、ということです。
知らずに土地を購入後、建築計画時に新たな擁壁を
つくる必要性や、大掛かりな地盤改良が必要とわかると
建築費に大きく影響し、予算と大きくかけはなれて
しまうことも起きる可能性があるからです。
たとえば、愛知県の崖条例、
下の図の30°のライン(安息角)の延長線上より
上に建築すれば大掛かりな地盤改良は要らなくなる、
ということですが、一般的には50坪から100坪までの
敷地の中では、そのラインには届きません。
そこで、擁壁があれば大丈夫、ということですが
その擁壁についてはその強度等の安全性が確認できる
ものである必要があります。
(参考)
ただし書き「安全上支障がないものとして知事が定める場合」の例
愛知県告示第 899 号(抄)
(1)がけ面が擁壁その他の施設により保護されている場合
ア 建築基準法施行令第142条に適合する擁壁
イ 鉄筋コンクリート造又は間知石練積み造その他これらに
類する構造の擁壁で、その高さが5m以下であって、有害な沈下、
はらみ出し、ひび割れ等がなくあんぜんであることを一級建築士
又はこれと同等の者が認めたもの
ウ 擁壁に加わる荷重及び外力に対して支持する地盤が安全であること
を一級建築士又はこれと同等の者が認めたもの
(2)がけの上に建築物を建築する場合で、鉄筋コンクリート造の布基礎
その他これに類 するものとし、かつ、がけの下端から水平面に対し
30 度の角度をなす面の下方に基礎 底(もしくは杭先端)を設けたとき
写真は ここを造成した当時のかなり古い間知ブロック
の擁壁、高さ5m超、です。
この擁壁の強度を証明できるものは残っていないので、
地盤改良か擁壁の造り替え、となります。
擁壁を触るとなれば、宅造申請も必要になり、費用も
膨大になるのでこのケースの場合は擁壁はそのままに、
他の方法(地盤改良)で対応を考えます。